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剝いた日ごとにまとまって日光浴中のピーナッツ

秋です。空気がどんどん軽くなり、空が高くなり、涼しい顔して吹き抜ける風が旅心を誘う季節。あのべったりをと重い夏が嘘みたい。この家も過ごしやすくなりました。室内にてダウンジャケット着用となる冬まで、暫くの快適空間です。

晩夏から、小値賀の里の風景はめまぐるしく変化します。お盆の声を聞くと稲刈り、バインダーや脱穀機の音が鳴り止まないうちに、島中の道沿いに胡麻の束が並びます。これが茶色くなってくる頃、家々の前には落花生が広げられ、乾いたら殻剝き。初物の落花生をもらって喜んでる間に島は芋堀り、かんころ作りに突入。忙しい季節です。マメ(落花生)剝き、芋堀り手伝いという名目で、敬愛するおじいちゃんおばあちゃんたちを邪魔しに回ります。

クリスマスが来ると満82歳になる田口さんのおばあちゃんは、キャリア半世紀以上のお百姓農家さん。野菜各種に米、芋、マメ、胡麻、粟といった、小値賀の主要作物を育てています。今年の日照りと暑さで粟は半作。落花生も、大きい種類は特に身が入っておらず、40年のマメ作の中でもこんなに悪いのは初めてだと。おじいちゃんと一緒に「こがん悪かれば剝くとも楽しみのなかよ」と言いながら、でも淡々と、延々と続く仕事に向かいます。子どもの頃の日課、五升釜で炊く芋、戦争中の話、出稼ぎの話など、あっちこっち飛びつつも、二人の話は私を楽しくタイムスリップさせてくれます。

マメを煎ってくれる岳田さん。厚手のすき焼き鍋と塩で、意外にさっと煎り上げます
マメを煎ってくれる岳田さん。厚手のすき焼き鍋と塩で、意外にさっと煎り上げます

翌週は大島に2日間出向いて、2軒の家で日がな一日マメ剝きと選別。ここの落花生は、出来は悪くなかったみたいです。サヤは小さいけれど殻が薄く、中に隙間なくマメが詰まっていて効率がいい感じ。薄桃色の肌も愛らしい剝きたてのマメは、この後また2、3日陽に干してやっと、煎るだけになります。おしゃべりがてら現れた近所のおばあちゃんも加わって、大島弁講座を受けながら剝ききりました。

楽屋の毒りんごちゃん
楽屋の毒りんごちゃん
参加すると本番の写真は撮れないもんです。全てが終わった後
参加すると本番の写真は撮れないもんです。全てが終わった後

さて、10月といえばお祭りです。前方地区から始まって島内の集落を回るお祭りのハイライトは12、13、14日の笛吹(中心集落)のお祭り。今年も「ちかどん屋」に加わってお下りとお上りの行列に参加しました。ミッキー、ミニー、魔女にピエロに白雪姫、白タイツ王子にドナルドにティンカーベル、小人と毒リンゴまで取り揃えて、本通を練り歩きました。町はそのまま夜の祭りになだれ込みます。それぞれの家が、来る人にごちそうと酒を振る舞うもので、「うちの祭りにおいで」「○○さん家の祭りに行くよ」とかいう会話が聞かれます。かつてはたくさんの家が「祭り」をし、それを一晩中梯子して回る飲んべえ達が朝まで道端に転がってたとか。今はもう、そんな「祭り」をする家も減ったといいますが、それでも私たちも14日の夜は3軒ハシゴでした。いろいろおいしかった!

耕耘機に掘った芋とおばあちゃんと積んで
耕耘機に掘った芋とおばあちゃんと積んで
「芋洗い用」と書いてある板を用いてガラガラ洗います
「芋洗い用」と書いてある板を用いてガラガラ洗います
芋は水不足の割に大きく育ってくれたみたい
芋は水不足の割に大きく育ってくれたみたい

秋も深まってくるといよいよかんころの季節。あちこちの干し台に整然と並んだはっぱ達が、秋の陽を受けて輝きます。件の田口さんも、1反の芋畑を端から掘り始めます。掘って洗って剝いて、翌日スライスして茹でて干し台に並べ、数日後には乾ききる。2列が1セットで、6回か7回分、2週間ほどのかんころウィークです。私は1日目だけ参加。おばちゃんと私が掘って行く芋を、米寿を迎えたおじいちゃん(病み上がりで、ほんとは外で働いちゃいけない)が選って袋に詰めていきます。掘った芋はドラム缶でがらがら洗って、午後からは皮剝き。これがまた背中の凝る作業ですが、二人はやっぱり淡々と、涼しい顔して剝いていきます。あ、でも実は田口さん、2日前に嬉野温泉から帰ってきたとこでした。温泉三昧4泊5日は、ちょっと言葉で言えないくらいの働き者の彼らの、年に一度の楽しみ。おばちゃんの目は一層キラキラ、おじいちゃんの顔は一層ツヤツヤしてました。

干し台のかんころ。これがかんころ餅になったりかんころおじやになったり
干し台のかんころのはっぱ。「乾くまでの間のつまみ食いがたまらん」ある世代までは口を揃えて言います。

こんな風に小値賀の秋は更けていきます。スープやおじやが恋しくなるこの季節が、私はいちばん好きです。朝晩の冷え込みにぶるっとする時、これから来る寒さ(ここいらの冬はなかなか寒い)にもブルブルしますが、そして「寒い寒い」と文句ばっかの日々間違いなしですが、温かいものを心の底から有り難いと思う時ってしあわせなもんです。しんどいものは嬉しいものをより嬉しくしてくれるもの。というわけで、夏が過ぎて良かった〜

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